尹夏沫・・・泡沫の夏
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That's How Life Continues
15歳までは歐辰の綺麗なお人形だった。
家族のため、澄のため、歐辰のそばにいれば、守られていた自分。
歐辰を好きだったのかもしれない。
傲慢で、すぐ束縛する、それでいて哀しい瞳を持つ大人びた少年のそばにいれば
家族も自分も守ってくれる、それが「幸せ」だった。
でも人から与えられる「幸せ」はまるでシャボン玉のよう。
唐突に、一番、美しい瞬間にはじけてしまう。
綺麗なお人形でいても、家族は守れなかった。
「愛」や「恋」など自分をコントロールできなくなる感情は、切り捨てる。母親のようになりたくないから。
15歳までのお人形の記憶は、すべて忘れる。
自分で家族を守らなければいけないから。
だから歐辰に抱いていた自分の気持ちも切り捨てる。「好きだったことはなかった・・・」と。
「愛」に何も期待していないのに、男に抱かれるときは
顔だけは花がほころぶように微笑っていて、だけど目だけは決して微笑っていない・・・
そんな甘い毒薬のような夏沫。
優しさと残酷さが、紙一重のところで重なりあっている、そんな匂いを持つ女の人。
「愛」を忘れた人魚姫が、「他人の愛しかた」を思い出すまでのお話。
彼女が何よりも大切だと思う「家族」は、
他人を愛するという、一瞬一瞬のシャボン玉のような「幸せ」のきらめきからしか
作り出せないから。そうやって人生は続いていくのだから。
そしていつの日にか、愛から涙を知るだろう。
夏沫、見事に、最後まで揺れない頑ななヒロインだったわぁ。ハードボイルドです、彼女。
女性には、どんなに意地悪されても許すのに、男性に対しては無情。
まあ、期待をもたせちゃあ、相手のためにならないものね。
個人的には、15歳の歐辰との別れのシーンの彼女が好きです。
「好きだったことはなかった」と言い放ち「死ねば許してあげる」と告げる。
ひゃあ~、だわ。ゾクゾクしました。
そして律儀に許してもらおうと、歐辰は(緩慢な)自殺めいた事故を起こすのよね(涙)
夏沫が2人の男子の間でヨロメクようなら、ものすごくうざったい感じの愛憎ドロドロドラマに
なったかもしれないけれども、彼女に筋が通っているので、視聴後はさっぱりした感想になる。
2人の男子に胸を痛めていたのは、私たちだけかもしれない(笑)
ある意味、男子よりもオトコマエな、稀有なヒロインでした。
by moonlight-yuca
| 2011-10-15 19:18
| 泡沫の夏