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カテゴリ:悪魔のようなあいつ( 1 )

悪魔のようなあいつ

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悪魔のようなあいつ 全17話 (1975年 TBS)

■脚本:阿久悠
■演出:久世光彦
■キャスト:
  • 可門良:沢田研二
  • 可門いづみ:三木聖子
  • 野々村修二:藤竜也
  • 八村八郎:荒木一郎
  • 八村ふみよ:大楠道代
  • 八村ハル:浦辺粂子
  • 山川静枝:篠ひろ子
  • 白戸五十六警部:若山富三郎(特別出演)
  • 富山医師:金田龍之介
  • 佐々木医師:三宅康夫
  • 看護婦:樹木希林
  • 日夏恵い子:那智わたる
  • 矢頭たけし:尾崎紀世彦
  • 青柳:デイック・ミネ
  • 倉本:伊東四朗
  • 右川:高田光泰
  • 左川:岸部一徳
  • 王礼仁:細川俊之
  • マキ:長谷直美
  • ノノ:谷口世津 → 関根世津子・・・レイプシーンを拒否して途中降板・交代
  • マヤ:立野弓子
  • スージー:スーザン
  • 香川:デイブ平尾
  • 灰山:関山耕司
  • 夢さん:阿部昇二


    【あらすじ】
    元刑事の野々村が経営するバー「日蝕」で歌手として働く可門良。男娼としての顔を持つ彼は、あの「三億円事件」の犯人だった。良に惹かれて夜を共にする女たち、良をつけ狙う刑事、良の三億円の金に集まる男。そして、良自身も余命幾許もない重病に冒されていた。時効まで彼は生きていられるのか、時効は成立するのか、果たして三億円の行方は…。

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    三億円事件に関しては現在放映中の「クロコーチ」を始め、様々なドラマが放映されてきたけれども、一番の異色は「悪魔のようなあいつ」であると思います。
    1975年6月~9月にTBSで放映されたのち、1度も再放送されずに38年もの年月が過ぎ去ったという幻の作品。
    何しろ当時のあらゆるタブーに挑戦したかのようなスキャンダラスな設定が幻の作品、たらしめたのでしょうね。
    男色、近親相姦、レイプ、発狂、リンチ、拷問を通して描かれる世界観は、まさに演出家久世光彦の「時間ですよ」といった一連のホームドラマとは違う美意識に彩られて、ディープです。官能が溢れている。
    久世さんは独特な美意識でドラマを作っていらっしゃるので、はてしなくシリアスなドラマであるはずの「悪魔のようなあいつ」ですらどこかホームドラマのような、あっけらかんとした笑いが漂っています。

    果てしなく墜ちていく物語であるはずなのに、どこか生きていくおかしさが漂っている。
    滑稽だからこそ、果てしない虚無感が際立つとでも言ったらいいのかな。
    挙句の果てに視聴率低迷で打ち切りとなった腹いせか、物語はメタフィクションの様相を呈してくるし。


    ずっと幻の作品「悪魔のようなあいつ」が視聴したい、というのが私のドラマフリークとしての幼少期からの願望(笑)でしたから、今から12年前に限定DVDセットとして発売された時は、飛び付きました(爆)
    このドラマは日本のBLの生みの親の側面を持つといっても過言ではないですし(爆)

    そんな幻のドラマが、いよいよCSで放送ということで、なんとなく祝★「悪魔のようなあいつ」ってことで、さわりを紹介します。


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    パナマ帽にサスペンダーというジュリーのファッションが流行ったらしいし、主題歌の「時の過ぎゆくままに」だってジュリー最大のヒット曲なのに「悪魔のようないあつ」が視聴率を取れなかったのは、あまりにも淫靡だったからかもしれない。
    ジュリー演じる良は、全ての人間に愛されます。コールボーイだからね。
    「メス豚を抱きに行く」というなんとも刺戟的なセリフを吐いたり、かと思うと野々村さんに甘えてみたり、であらゆる人間をタラしていくの。
    周囲の人間は良を無条件に愛するか、あるいは嗜虐心を過剰にそそられていたぶってしまうか、果てしなく執着していくか。
    彼自身は不治の病を抱え、発狂の恐怖に怯え、全てを破壊していこうとする。
    愛も憎悪も、生きていることさえも。

    すざましいまでの墜ちていきかた。
    どこまでも墜ちていく男の、気の遠くなるような悦楽なのです。

    可門良は言う。
    「俺のたったひとつの青春を守るために何でもする」
    青春なんて刹那的なのに、その一瞬の譲れない瞬間のために、彼は全てを否定する。
    愛も憎悪もカネも名誉も執着も。
    青春だけを追い求める。
    自分たちの失った青春を良に重ねて、周囲の人たちは彼に、憧れと、不安と、切なさと、愛を抱き、狂おしい、妖しいかぎろいに満ちたまなざしを向けるのかもしれない。
    報われぬ愛を良に捧げるのだ。



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    何しろ40年近くも前の作品なので、古臭さ満載ですが。
    見ているうちに良がだんだん綺麗に見えてくるのが不思議。
    冷たくて寂しくて残酷で美しくって・・・

    そして藤竜也が果てしなくカッコイイ。
    とにかく昔から藤竜也は大好きです。声が好き。佇まいがすごく好き。
    サングラスの下からのぞくふとしたまなざしが、すごく若いことにびっくりする。なんだか野々村さんって年上だと思っていましたが、いつしか私は彼の年齢を越えているし(・・・当たり前ですが)
    アラフォーになって、野々村さんを見直すと彼も良を愛しぬくことで、青春だったのね、と今なら思えます。

    彼の良への執着愛がどのような結末を迎えるのか。
    「悪魔のようなあいつ」の見どころの一つでもあります。


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    若山富三郎は良を執拗に追い回す刑事。
    その執着は野々村さんの良への執着と、どこか似ている。事件に対する執念なのか、良に対する嗜虐心なのか。

    若山さんが亡くなられる直前に♪ 時の過ぎゆくままに ♪ 歌われたというエピソードは、なんだか感慨深いです。


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    篠ひろ子が綺麗でね。薄暗い画面の中でも輝いていました。
    久世さんはどこかユーモラスティックな方で、ドラマとはこうあるべきだという固い信念があった方です。
    久世さんの美意識のために、彼女が演じる静江は劇中ではずっとナースの姿か、裸という徹底したコスチュームです。
    (病院にいる時ではなく、町での外出だってナース姿・笑)
    コスチュームプレイをさせることで、どこか登場人物を記号化しているような気もします。
    「悪魔のようなあいつ」で描きたかったのは、人物ではなくて、「墜ちていく青春」だったんでしょうね。


    とにかく出演者がきら星のスターたちばかりで、そういう意味でも眼福。
    とくに細川俊之が演じる王は必見です。怪演とはまさにこのことです。スターたちもどこかコスプレを楽しんでいる風味です。


    良が三億円のために、どんなことでもするのは、それが彼が持っていたたった一つのモノだから。
    お金が、という意味ではなく、三億円強奪の瞬間が、たった一つのものだったから。
    青春。
    あの事件の一瞬だけが、彼のくすんだ人生の輝かしい瞬間だったから。
    そんな輝ける瞬間を追い求めた男の、どこまでも墜ちていく物語なんです。
    墜ちていくのも幸せだよと、冷たい軀を抱き合わせる寂しいひとたちの物語なんです。






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    by moonlight-yuca | 2013-12-01 21:14 | 悪魔のようなあいつ | Comments(0)
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    blogお引越ししました。


    by yuca
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