私は女である前にデザイナーよ・・・デザイナー

あらすじ:
トップモデルの亜美には、実の親を知らないという秘密があった。ある時、母親が誰であるかを知った亜美は、そのショックで車の衝突事故をおこし、モデルの道を閉ざされてしまう。母親を見返すため、結城コンツェルンの朱鷺の手を借りてデザイナーになる事を選ぶ亜美だったが……。
以下、ネタバレがあるかも・・・
いわずとしれた少女マンガの大御所一条ゆかり先生の「デザイナー」。
再読しても相当面白い。強烈。
事故、孤児、 母親への復讐、近親相姦、世界的コンツェルン、自殺、記憶喪失、男色、主従、プライド。
先日まで夢中になって視聴していた「泡沫の夏」が、かーなーりこのマンガとかぶっている気がする。
孤児で成りあがろうとするヒロイン亜美が夏沫、
全てを持っているが愛は手に入らない冷酷な御曹司朱鷺が歐辰、
情熱的に亜美を愛する明が洛熙、ちょいと怪しい匂いがする柾が西蒙(笑)。
「デザイナー」はものすごく濃い愛と仕事の話なのだ。
一条ゆかりセンセイの「有閑倶楽部」「こいきな奴ら」「正しい恋愛のススメ」もいいけれども
暗くてジメーっとしたシリアス物の方が、再読した時に大好きだったりするのよね~
「人生なんて砂の城のようなものかもしれないわ。
つくっても、つくっても、いつの間にか波 がさらってしまう。いつも同じ事のくりかえし・・・」
なんて強烈なセリフを吐くナタリーが主役の「砂の城」や狂気もの「果樹園」、
「恋のめまい愛の傷」「それすらも日々の果て」など非常にビターでシリアスな作品が好きなのよ。
作品の根底に流れている近親相姦や男色。
恋をつきつめていくと気が狂ってしまう主人公たち。いやあ、当時の小学生が読むには強烈。
「キャンディ・キャンディ」などで「きゃあ、ドキドキ♪」なんて付録をあつめていた少女には
非常に難しい世界だったのよね。
(蛇足だけれども「キャンディ・キャンディ」も今思えば非常にシリアスだったりする。
その後の版権争いもおどろおどろしいしね!)
そして「デザイナー」
今読むと、いいのよね~。意外と仕事の話として、再読している自分がいたりする。
「愛」をとるか「仕事」をとるか。
「仕事」は自分の存在理由だから「私はデザイナーよ」とひとり旅立つ母。
デザイナーとして生きようとすればするほど孤独になるのを知っていながら
あの人は最後まで自分と闘いながらデザイナーとして歩いていく
自分の腕だけを信じて
気が遠くなるほどの時間をたったひとりで生きていく・・・
そしてひとりでは生きられないと「愛」を選ぶ娘。
その結末は、非常にドラマティックで。
現代だったら「罪に濡れたふたり」のようにあっけらかんと、こちらが驚くくらい(笑)、
タブーの一線を踏み越えるマンガが続出なのにね。
あの頃は倫理観があった(爆)
あの当時は柾の朱鷺への執着がよくわかりませんでしたが・・・今は分かります(笑)
まあ、なんというか、建物はロココ調、眩いフリフリのレース、長髪の美少年、
18歳でレミー・マルタン、ヘビースモーカー、スーパーカー・クラッシックカーを乗り回す。
登場人物は全て年齢不詳。
「泡沫」のように突っ込みどころ満載で「あれれ~」と言いながら読み進めるのだけれども
歳月が過ぎても色あせない、不思議な魅力を持つ作品だわぁ。
「デザイナー」が面白いのは、通常の少女マンガでは主人公になるはずの純真なアリサを脇役にし、
嫌味で高慢ちき、負けず嫌いでプライドが高い亜美を主役に持ってきたことだろうなぁ。
機会があれば、ぜひ「デザイナー」一読を。スペクタクルな作品でございます。
by moonlight-yuca
| 2011-10-26 22:14
| 恋愛は少女マンガで教わった

