人気ブログランキング | 話題のタグを見る

nothing hurt

yuca88.exblog.jp ブログトップ

シティーハンター

シティーハンター_a0192209_18452142.jpg
シティーハンター 全20話 (2011年 韓国SBS)

■演出:チン・ヒョク
■脚本:ファン・ウンギョン/チェ・スジン 
■キャスト:
イ・ミンホ(イ・ユンソン)
パク・ミニョン(キム・ナナ)
イ・ジュニョク(キム・ヨンジュ)
シティーハンター_a0192209_194421100.jpg

このドラマに視聴者がどこまで期待するかにもよるのだと思うけれども、
出演者のファンならば、視聴して大満足!アクションドラマが好きな方も大満足!
恋愛と復讐で悩むユンソンを見ながら私がナナだったら・・・と夢見る方も大満足!
おじさまフェチの方も大満足!世の不正に対して鬱憤がたまっている方も、視聴したら
スカッと大満足!いろいろな方のニーズに、最大限応えようとしているドラマだね。

以下は、辛口、ネタバレです。







シティーハンター_a0192209_19534421.jpg

「シティーハンター」ドラマ化すると最初に聞いたは全然視聴意欲がわかなかったけれども、
かなり好評だったので、むくむくと観たい気持ちが強くなったのよね~
ドラマ前半は、楽しく視聴してました。
どこら辺からかなぁ~、ちょっと「シティーハンター」のあり方に疑問を持ち出したのは。

ユンソン君は、カッコよくてオールマイティーで、ちょっと口が悪いだけの優しい男の子です。
養父から殺人兵器として育てられたにも関わらず、真っ直ぐ育ってきたイメージがある。
「復讐」を口にする割に、性格はひねこびていないし、屈折していないし。
ものすごく優等生じゃない? 養父に真っ向から反抗することなく、母を大切にし、
ナナを愛し、アジョシを慈しみ・・・人間が深いから、自分を頼る人は全てを守り、愛する。
チョー優等生だよ。自分の存在にこれっぽちも悩まない。
優等生な人間のドラマは、どこまでいっても綺麗事で終わっちゃうから面白くないの。
彼の手は最後まで、血で汚れなかったのよね。

人間だもの。
カッコ悪かったり、悩んだり、泣き叫んだり、自分で自分がコントロールできなかったり、
もっとドロドロのグズグズになった生きざまを、見せてくれてもよかったのに、と思う。
ユンソンは悩む姿も、カッコつけて、眉間にシワをよせるぐらいで、悩みが解決しちゃうのよね。
もっとどん底まで堕ちればよかったのに・・・と思う。
結局、彼は1話から20話までずっと変わらず、青臭い大義名分を語っていた。
私は、人間が変わるドラマが観たいの。
ドロドロのずぶずぶのどん底の中で、「あっ!」という発見、その一瞬のきらめきを見せてくれる
ドラマが好きだから、ドラマを通してずっとカッコ良かったユンソンには興味がない。

「シティーハンター」という反社会的な行動をしながら、よくあんな青臭い大義名分を語れるな~
国民が選んだ政治家の良心を信じる心、国を守る軍人を国家が守ると信じる心、大学は次世代の人材を育成すると信じる心、企業は従業員と苦痛も成長も分かち合うと信じる心・・・それらを守ることこそが、私の大義名分です

あのね、ユンソンが20話を通して、悩んだ結論がこのセリフだったら、私も納得するけれども、
1話から彼はずっと、揺るがなかったからなぁ。ぶれなかったよね。

何よりもこのドラマで検事のヨンジュに「法でできないことをシティーハンターがやってくれた」と
言わせたのが、興ざめ。
色々な不正や巨悪はどんな社会でも起こりうること。
じゃそれを根絶するのは、信念さえあれば、義賊でもいいのか?
でも、信念なんてね、人によって違うのよ。
信念さえあれば、法を歪曲して、自分の目指すことを成し遂げる、と嘯いていた巨悪と、
同じ立ち位置になるのよ、シティーハンターが。
そのシティーハンターを、法の番人の検事が肯定しちゃあ、いけないでしょう。
法治国家の意味ないじゃん!


シティーハンターもこのドラマで描かれる巨悪も実は自分の信念に基づいて行動しているのは
同じなの。そのことにユンソンが気づき、悩み、苦しまないから、私はこのドラマは退屈だったの~


大好きな映画「ダークナイト」
バッドマンも自らが信じる「正義」を突き詰めすぎて、法から逸脱していく。
彼の正義と狂気は紙一重で、「ダークナイト」として夜明け前の、一番深い闇の中に消えていく彼のストイックな後姿はまぶたに焼き付いている。
バッドマンは己がやっていることは巨悪と同じだということに、苦悩し煩悶し、その生き方を
選択する。その背中に、ちょっと感動したのよね、私。
そして本来、シティーハンターもそういう立ち位置なのよ。
どこまでも社会の闇に近い存在。

ユンソンはもっと悩まないといけない。苦しまないといけない。卑屈にならないといけない。
より多くの痛みを感じ、心臓がやぶれるまで走り続けないといけない。
ナナとの安寧な生活を夢見てはいけない。
それがシティーハンターとして、存在意義だったのに。
そしてそのことに彼が苦しみ、もがき、涙したら、私はもっと彼を愛しただろう。
彼を見て胸が切なくなったり、息ができなくなったり、涙したりしただろうにな。残念。

な~んて、ドラマに深みを求めちゃいけないのかしら。
でも、時々ぞっとするような、人生の深みをみせてくれるドラマもあるしなぁ。
「シティーハンター」私には、表層部分だけ面白おかしく、描写しただけのちょっと薄っぺらい
ドラマに思えて仕方なかったです。

シティーハンター_a0192209_20513733.jpg

恋愛部分もちょっと肩透かし・・・
ユンソンとナナが対立をずっとしていれば、切なさ倍増なのに・・・
ユンソンを打ち抜いたナナがあまり悩みもせずに、平気なのも、私的にがっかり・・・
もっと切なくできたのにねぇ。そう思いませんか?

あっ、でも、イ・ミンホ、パク・ミニョン、イ・ジュニョクをはじめとするキャストの皆さま素敵でした。
(↑とってつけたようかしらん・笑)
by moonlight-yuca | 2012-02-01 20:30 | シティーハンター
line

blogお引越ししました。


by yuca
line