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青春の影・・・ラブレインについての考察

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韓国ドラマ「ラブレイン」について、つらつらと考えてみる。(現在8話まで視聴)
このドラマで、ユン・ソクホ監督は何を語りたいのかということを。
あくまで、個人的な感想です~


まず、このドラマの基本情報をまとめてみる。
韓ドラを視聴されている方は、このドラマがあの「冬ソナ」の監督の作品であるということ、チャン・グンソク、少女時代のユナという、人気の絶頂期であるだろう2人の出演作であるということ。また早々にこのドラマの買い付けに巨額の金額が動いているということ、などの情報を入手されて、ある意味、興味津々な方が多数いらっしゃるだろうということは、想像に難くない。
そういう、私も、その一人ですもの。

ドラマはイナーユニ(70年代)、ジュンーハナ(現代)の2組の親子の恋愛模様を描いていく。
脚本は、オ・スヨン(1968年生まれ)、ということは、70年代の恋愛模様は、そのまま監督(1957年生まれ)の青春の幻影を描かせていると、考えていいよね。
現代パートに、脚本家の本領が生かされているのかな。

私は、韓国の歴史について、本当に不勉強で恥ずかしいくらいなのだが、それでもこのドラマを視聴していると、70年代は戒厳令があり、政府からの弾圧があり、発禁歌謡曲があり、毎日国旗掲揚を直立不動で見上げねばならない・・・というエピソードが出てくる。
ただ、それは、あくまで、このドラマの彩りをそえるくらいのエピソードでしかない。
韓国70年代といえば、「シルミド」や「光州事件」の圧政の時代だよね。
兵役問題も、若者にとっては深刻な問題。(ここらへんのニュアンスは、私には完全に理解できるなんて、大言壮語は吐けません)

しかし「サランピ」は、あくまで、世界に対して向き合おうとする若者ではなくて、自分の気持ちの荒波に戸惑う若者たちを描いていく。主人公とヒロインを中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題だけを、監督は描いていく。
彼らにJC de CASTELBAJACなどの衣装をまとわせながら。
ファッショナブルで、有閑な若者たちの70年代の青春時代。

実は、この70年代の青春は、監督が、「こうあればよかった」と、願っている青春時代なのではないのだろうかと、思ったりする。
あまりに絵空事で、綺麗で、ノスタルジックで、夢のようだから。
監督の原体験は、もっと、もっと暗かったのではないか。
だから、彼は、自分が望んで得られなかった、青春時代をこのドラマで描きたかったのだろうな。
色彩や光線を注意深く選んで、泥臭さや政治臭を取り除いて、自分の夢だけを描いている。
青春の影を取り除いた、「サランピ」の70年代の描写は、だから、こんなにも、視聴者の心に響かないのだ。
まるで水彩画のように、平坦なドラマ展開は、監督の「夢」しか描いていないから。
「心」が「生きる苦しみ」が、そこにはないから、視聴者の心を打たない。

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映像として視聴するには、文句なく美しい「サランピ」。音楽も秀逸。
しかし、肝心のストーリー(70年代部分ですが)には、「心」がこもっていない。あくまで、そこにあるのは監督の美意識であり、様式美である。
恋愛ドラマというのは、「きみとぼく」の小さな関係性から、自分を再認識し(アイデンティティを確立し)、そして世界に向き合うドラマ、だと私は思っている訳です。
「サランピ」70年代部分には、それが見出せないの。彼らは世界と向き合わなったの。あくまで、ファッショナブルな青春という幻影だけに留まったのよね。



さて、面白いことに、お話が現代になっても、相変わらずイナーユニ(70年代)は、それぞれの小さな世界でしか生きていない。過去の追憶(青春の夢)に囚われている。
彼らの子どもたちのジュンーハナ(現代)の方が、親を気遣い、他者との関係性から、自己を模索しているように思えるのよね。
親子の逆転現象が起きているのよね。


「クリスマスに雪は降るの?」でも見受けられたのだが、親世代の恋愛を描くのって、ムズカシイ。中年の恋愛を上手に描いた作品って、ないのかな?
どうしても、小さな世界で相手にしがみついて、(ストーカーのようになったり)、純愛と言いながら、子どもを振り回しているのよね・・・



・・・話がずれちゃったけれども、監督はきっと自分のノスタルジックな青春の幻影をドラマにすれば、視聴者に受けると思ったのよね。
でもそこには、彼が何を訴えたいかが込められていなくて(だって、実体験ではなく、あくまで想像した青春だから)、ただただ計算された映像美しか、こちらには伝わってこない。
もどかしい恋愛模様と言っても、「生きる苦しみ」や世界と向き合い、アイデンティティを確立する主人公の姿が伴わないストーリーでは、視聴者の心は動かないのよね。
せっかく70年代と言う動乱の時代を背景にするなら、もっと違った描き方があったのにな。


だから、このドラマで訴えたいことは、彼の卓越した映像(色彩)センスだけ? それは文句なく素晴らしいわ。
という、とんちんかんな、私の受け取り方になっちゃたりします。
しかし、ここまで自分の青春の夢に拘り、動乱の時代なんか関係ない、ただただ自分の中にある「あるべき70年代の青春」を映像にしようという、世界に背を向けた監督のオブセッションは、それは、それで、すげ~な~、なんて思ったりもします。
世界がどうなろうと、「シルミド」や「光州事件」があろうと、弾圧があろうと、登場人物には何の影響も与えていない、このイナーユニ(70年代)に託したノスタルジックな青春を描いたユン・ソクホ監督の妄執。
それはそれで、弾圧されてきた70年代に青春を過ごした監督の反動・・・ともとれるなぁ。
弾圧の時代の影響を感じさせないノスタルジックな映像美の「サランピ」というのは、70年代に対しての彼の、抗議とも考えられたりもするのか。
by moonlight-yuca | 2012-05-04 22:26 | ラブレイン
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