人気ブログランキング | 話題のタグを見る

nothing hurt

yuca88.exblog.jp ブログトップ

アンジェリク

アンジェリク_a0192209_2039313.jpg

みどりいろ
わたしの好きな
みどりいろ
みどりの吐息
みどりの目

むかし
おとめが
おりました

アンジェリク 木原敏江(原作 S&A・ゴロン)

【あらすじ】
17世紀のフランス、片田舎の貧乏貴族の娘に生まれた美しいアンジェリクがたどる数奇な運命。初恋と毒薬の秘密、醜い大金持ちの伯爵との政略結婚、宮廷貴族の陰謀と夫の突然の失踪……。苦難と闘いつづけるアンジェリクの恋と冒険を描いた大河歴史ロマン。

アンジェリク_a0192209_20465445.gif


木原敏江といったら「しまりんご」かもしれないけれど、私の中ではなんといっても「アンジェリク」!
これぞ少女マンガというきらきらした絵柄の中で、せつなさを描かせたら天下一品だったわね。
「ベルばら」とはまた違った意味でせつなかった。
「ベルばら」は恋愛模様はもちろんだけれども、逆らいようがない歴史のうねりのダイナミックさというのも教えてくれたけれども、「アンジェリク」は報われない思い・・・というものを少女の私に教えてくれたと思う。

少女マンガの典型的なパターン、ヒロインが全てのヒーローに愛されるという鉄板のプロットを用いながらも、結婚したらめでたし、めでたし・・・とはいかず、そこからが怒涛のようなヒロインの運命の遍歴に、度肝を抜かれちゃったりもしました。

白馬にのった王子さまが、ヒロインを見つけて、2人はいつまでもしあわせに暮らしましたとさ・・・


なんてことはないのです。
少女の頃ってさ、初恋の大好きな人と結婚したらそれで幸せなんだわ、と思っていたことがないですか?
結婚してからだって、色々大変なのよ~、なんてこと思ってもみなかった。
シンデレラは、白雪姫は、その後ずっと幸せに暮らしていたに違いないと思っていたあの頃(爆)
そんな私に、いやいや、結婚したからってずっと一人の人と添い遂げられるとは限らないよ・・・という衝撃的な事実を教えてくれたマンガでもあります(爆)
愛には色々な形があって、その場所、そのタイミングで、側にいる人が最愛の人なんだよ。
そして、愛は必ず報われるとは限らない・・・という、なんともビターな事実を教えてくれました。


それまでの少女マンガでは、ヒーローが全てで、2番手君はあくまで2番手君なのです。
ところが「アンジェリク」ときたら、ジョフレにフィリップにニコル、という魅力的なヒーローたち。そして彼らを等しくアンジェリクは愛するのです。
そういう愛があることを教えてくれたわ~

アンジェリク_a0192209_21524968.jpg

フィリップ!
もう、私の韓国ドラマにおける、報われない複雑で屈折した孤独なヒーロー好きは彼がルーツだと言っても過言ではないの。
こんなに複雑で、哀しくて、自分の愛すらわかっていなくて、しかし誰よりもヒロインの愛を求めた男を私は知りません。
今でも彼のことを思うと泣けるわ~
(蛇足ですが、フィリップとボーフォール公との妖しい関係にも胸がときめきました。初めて知ったBLのときめき・笑)

クールに美しい人形であることだけを求められたフィリップが、シニカルに生きてきた彼のたった一つ感情を動かすものが、田舎くさいと見下していたはずのいとこアンジェリクへの初恋だなんて。
愛情表現の下手な彼の精いっぱいの彼女への愛情表現が、泣けて泣けて仕方がない。
(「BASARA」での揚羽のラストと同じくらい号泣しました)


このマンガで教えてもらったことは、意外にヒロインは多情であり、ヒーローは初恋に一途ということかも。



■■■■■

その後、原作を読んだ私は、またもやびっくり!
少女マンガでは異色だと思っていた「アンジェリク」は原作と比較すれば、やっぱり少女マンガだった・・・ということ。
アンジェリクの多情は品よく、乙女チックにマンガではぼかされていたのね。
原作では、もっと露骨にセクシャルに物語は展開していきます。プラトニックなんか、どこにもない(笑)
マンガはお上品だったのね、ということを再認識しました。


田舎娘 → 結婚してフランスの伯爵夫人 → 夫が火あぶりになり → 盗賊の女に → 再びフランスの侯爵夫人 → 攫われて奴隷市場へ → 海賊のレスカトールに買われる → 逃げ出してスルタンへ・・・


これ、ほんのさわりの6巻まで(爆)
26巻あって、6巻の時点で、もうこんなに波乱万丈なんだよ!
ある意味「王家の紋章」の無限ループよりも、はるかに読み応えがあります。

お、こうして考えて見れば紫禁城すごろくだった「ブーブー」と似通った面白さがある。
ヒロインの境遇の流転、わらわらと登場するいい男(皇子たち)、ヒロインは純情のようで多情のようで、やっぱり純情、宮廷陰謀劇、毒薬、反乱。


そんな「アンジェリク」、毎回、胸をドキドキさせながら、手に汗握りながら読みましたもの。
原作も、ジョフレもフィリップ(号泣)も、好きですが、意外にもレスカトールが好きでね( ←わかる人にはわかる・笑)

クールなおもざしの中に、限りなく繊細で心優しい情感を秘めて、何があっても決して取り乱さずに、毅然と対処する。「自分を律する」ことを知っており、しかし時には情熱の熱い燃え上がりに身をまかして流されてしまうのが正しいことも知っている。
みずみずしい感受性を貴族の誇りにそっとおしつつんで、強く、しかも弱い彼。
フィリップとはまた違う意味で、切なくてカッコイイのよね~



「アンジェリク」はとにかく面白い物語であります。
「ブーブー」好きならハマるかも。
by moonlight-yuca | 2013-03-07 21:44 | 恋愛は少女マンガで教わった
line

blogお引越ししました。


by yuca
line