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小池真理子のエッセイからかつて少女だった私は様々なことを教えてもらった。
モラヴィア、グリエ、デュラス、倉橋由美子、開高健、安吾、ミシマ・・・ 
「知的悪女のススメ」と銘打った数々の本は、知性と品格と色気と、そしてどうしようもないくらい絶望的な恋に陥る男と女の世界を垣間見せてくれて、こんな大人になるのね、とドキドキしていたものだ。

そんな小池自身はエッセイストとしての自身のあり方に忸怩としたものがあったようで。
エッセイストともてはやされるのとは、逆にエッセイを出版しなくなった。
そして、ある時ひっそりとミステリー小説を出版する。
彼女が敬愛してやまなりカトリーヌ・アルレーのような、ビターなミステリー小説を。
ミステリー小説を書き進めていくうちに、小池が本当に書きたいテーマをみつけて。
「無伴奏」「恋」を発表。
愛に囚われた人たちの、日常が、実はミステリーだということを描き始めたのだ。
「恋」は衝撃だった。官能と純粋と、妄執。
すごい作品だなぁ、と思っているとあっという間に直木賞受賞。




その「恋」がドラマ化された。
井浦新と石原さとみ、そして田中麗奈。
2時間ドラマのサガではあるが、このドラマは小説「恋」のエッセンスだけが残っていた。
あの狂気の瞬間、あの情愛の瞬間、あの憎悪の瞬間が全て抜け落ちたエッセンスだけが残っていた。
仕方がないことだけれども。


エッセンスだけでも十分堪能したけれども。
ドラマはドラマで面白かったけれども。


なぜ、あさま山荘事件と同じあの日、あの瞬間に、憎悪が迸ったのかは、ドラマからは推察できない。
たんなる痴情のもつれではない。
「ローズ・サロン」を夢想した女と、理想のセクトを目指した連合赤軍メンバーが、同床異夢の相似形ということが。
男を愛する女よりも、男と女と女が作り上げる関係に恋をした女は、なんて不毛で、そしていじらしく、そして残酷なんだろうか。
理想の関係に恋をする女の絶望的に報われない、「恋」の話。



そんなことを思った、冬の夜。

★★★



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by moonlight-yuca | 2014-01-08 20:12 | ■日本ドラマ■
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